🍃~少し遠回りして帰る理由~ 余白の駅

#60 少し遠回りして帰る理由
仕事が終わると、家へ帰る道は一つではない。
一番早く着く道もある。
信号が少なく、迷わず帰れる道。
いつもなら、その道を選ぶ。
でも、時々。
理由もなく、一本違う道へ足が向く日がある。
五分ほど遠回りになるだけなのに、不思議とその道を歩きたくなる。
そこには小さな公園がある。
夕方になると、子どもたちの笑い声が聞こえる。
ベンチでは年配のご夫婦が並んで座り、ゆっくり話をしている。
花壇には季節の花が咲き、風がやさしく葉を揺らしている。
いつもの帰り道では見えない景色だ。
急いでいると、目的地だけを見て歩いてしまう。
でも遠回りをすると、景色が目に入る。
風の匂いに気づく。
空の色が少し変わっていることにも気づく。
そして、自分の心にも気づく。
「ああ、今日は少し疲れていたんだな。」
「今日は思ったより頑張っていたんだな。」
そんなことを、誰かに言われるわけでもなく、自分で知ることができる。
人生も同じなのかもしれない。
最短距離ばかりを選んできた人は、たくさんの景色を見逃してしまうことがある。
少し回り道をしたから出会えた人。
少し立ち止まったから気づけたこと。
予定通りに進まなかったからこそ見えた景色。
そんな出来事が、人生を少しだけ豊かにしてくれる。
もちろん、毎日遠回りする必要はない。
急いで帰る日があってもいい。
真っすぐ帰りたい日もある。
でも、心が少し疲れている日は、ほんの五分だけ遠回りしてみる。
それだけで、今日という一日が少し優しく終わる気がする。
遠回りは、時間の無駄ではない。
自分を取り戻すための、小さな余白なのだと思う。
今日もまた、私は少しだけ遠回りをして帰る。
その道の先に、昨日とは違う空が待っている気がするから。
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🍃 今日という帰り道を、もう少しゆっくり歩いてみませんか。
🍃 信号待ちで立ち止まる時間

🍃 何気ない「おかえり」がうれしい日

お読みいただき、ありがとうございました。
忙しい毎日の中で、この数分だけでも心を休める時間になっていたら嬉しく思います。
「余白の駅」は、慌ただしく過ぎていく日常の中で、少し立ち止まり、自分の心と向き合うための小さな駅です。
また次の駅で、お会いしましょう。
夜風
⑨ 次回予告
第61話
「月を見つけた帰り道」
ふと見上げた夜空に浮かぶ月。毎日そこにあるのに、気づく日と気づかない日があります。月を見つけた夜、少しだけ心が軽くなった帰り道のお話です。