🍃~明日は今日より少しだけ軽くなる~ 余白の駅

#62 明日は今日より少しだけ軽くなる
一日を終えるころになると、今日あったことを思い返すことがある。
うまくできたことよりも、なぜかうまくいかなかったことの方をよく覚えている。
「あの言い方でよかったのかな」
「もう少し頑張れたんじゃないかな」
「あれを先にやっておけばよかった」
そんな小さな後悔を、一つずつ拾い集めてしまう。
でも、考えてみれば不思議だ。
朝の自分は、こんな気持ちで一日を始めたわけではなかった。
今日も一日やってみよう。
それくらいの気持ちだったはずなのに、夜になるころには、知らないうちにたくさんの荷物を背負っている。
仕事のこと。
人との会話。
自分への反省。
明日の予定。
まだ起きてもいないことへの心配まで、鞄の中へ詰め込んでしまう。
そして、その重たい鞄を持ったまま眠ろうとする。
それでは疲れるはずだ。
だから最近は、全部を明日へ持っていかなくてもいいのではないかと思う。
今日の失敗は、今日に置いていく。
今日できなかったことは、明日の自分に少しだけ任せる。
答えが出なかったことは、無理に答えを出さない。
それだけでいい。
明日の自分は、今日の自分より少しだけ違う。
一晩眠って、朝の光を見て、温かい飲み物を口にしたら、昨日あれほど大きく見えていた悩みが、少し小さく見えることもある。
何も解決していないのに、不思議と「まあ、やってみようか」と思える朝がある。
人の心には、そんな力があるのだと思う。
毎日、大きく前へ進まなくてもいい。
昨日より強くならなくてもいい。
今日より、ほんの少しだけ軽い気持ちで明日を迎えられたら、それで十分なのかもしれない。
夜は、一日を反省するためだけにあるのではない。
今日を終わらせるためにもある。
今日の荷物を一つずつ下ろして、
「今日はここまで。」
そう自分に言ってあげる時間があっていい。
窓の外を見る。
街の灯りが少しずつ消えていく。
今日という一日も、静かに終わろうとしている。
良かったことも。
うまくいかなかったことも。
笑ったことも。
少し落ち込んだことも。
全部ひっくるめて、今日だった。
それでいい。
明日になれば、また新しい一日が始まる。
同じ自分だけれど、まったく同じ自分ではない。
だから、今日の重さを全部抱えて眠らなくてもいい。
一つくらい、ここに置いていこう。
そして明日の朝、
少しだけ軽くなった心で歩き始めればいい。
明日は今日より少しだけ軽くなる。
そう思えるだけでも、今夜は少し優しく眠れる気がする。
🍃こちらのエッセイもお読みください
🍃 今日の荷物を少し下ろしたくなったら、こちらのエッセイにも立ち寄ってみてください。
🍃 静かな夜ほど心は正直になる

🍃 月を見つけた帰り道
お読みいただき、ありがとうございました。
忙しい毎日の中で、この数分だけでも心を休める時間になっていたら嬉しく思います。
「余白の駅」は、慌ただしく過ぎていく日常の中で、少し立ち止まり、自分の心と向き合うための小さな駅です。
また次の駅で、お会いしましょう。
夜風
次回予告
第62話
「お気に入りの場所が一つあるだけでいい」
静かなカフェ、公園のベンチ、いつもの帰り道。誰にも説明しなくても、そこにいるだけで少し落ち着ける場所があります。自分だけの「帰れる場所」を持つことの小さな幸せを綴ります。